東京高等裁判所 昭和44年(ネ)2308号 判決
旧民法施行当時においては、親族会の決議に対する不服の訴として旧法第九五一条の定める決議取消の訴のほかに、被相続人の親族が提起する決議無効確認の訴が判例上容認されていた。その理由は右訴は形式的には過去の法律関係の確認を求めるもののようであるが、旧民法のもとでは親族会のした家督相続人選定の決議が法律上当然無効であるときは、被相続人の親族は親族会をして改めて家督相続人を適法に選定させるため裁判所に親族会の召集を申請することができるとともに、自らも相続人に選定されることができる地位に在つたため、実質的には当該決議が無効とされることにより相続人が未確定となり右被相続人の親族が現在において前記のような法律的地位にあることの確認を求め、これに附随する一切の法律関係を一挙に解決するものとしてその確認の利益が肯定されたことによるものである。しかし、新民法下においては右訴の利益はないものと解するを相当とする。けだし新民法は親族会なるものを廃止し、新法施行前にされた親族会の決議が無効であるとしても、新たにその決議をすることは認められず(附則第二三条二項)その相続に関しては新法が適用される(附則第二五条二項)ことになるのであるから、被相続人の親族はもはや前記旧民法のもとにおける被相続人の親族のような法律的地位を有しないのみならず、新民法により相続人となった者が直接その権利関係の具現を求めることで足りるからである(最高裁昭和四〇年(オ)第四六七号、昭和四二年四月二八日第二小法廷判決、裁判集民事八七号三四一頁参照)。しかして旧民法下においては右決議無効確認の訴と同一趣旨で親族会決議不存在確認の訴の存在理由が肯定されるとしても、上記と同一の理由により新民法施行後においては右訴についてもその利益がないものと解するを相当とする。
(石田哲 杉山 唐松)